元気に生きようシニアの生活ブログ

*

贈与による不動産登記 | 自分で登記しました |司法書士なしで

   

はじめに

贈与による不動産の所有権移転の登記手続きを

司法書士に頼まずに書類を作成し、

法務局に提出、無事に終了しました。

妻の裏方としてやりましたが、

それほど難しくなく出来ました。

実際にやったことを書いておきます。

なぜ「贈与」で所有権移転するのか

親の財産である不動産を”子”に所有権移転するのは

亡くなってから行う”相続”と生前に行う”贈与”に

大きく分けることができます。

実は、昨年、義理の父が亡くなり、相続による

不動産登記を自分でやりました。(関連記事はこちら)

その際にとても面倒だったことがありました。

相続による登記の場合は全ての戸籍が重要で

古い戸籍のつながりを辿って、昔住んでいた

遠くの市町村から戸籍を取り寄せたり、

遺産分割協議書を作成して相続人全ての

同意を得たりなど、結構な手間でした。

そこで今回の対象である母親名義の土地は

長女である妻に生前贈与し、”贈与”による所有権

移転ということで登記することを検討しました。

その方が”相続”による登記よりも手続きが

簡単そうだったのです。

ただし、贈与の場合、贈与税、不動産取得税が

別に発生するので、不動産の評価額によっては

要注意ですね。

(相続の場合は相続税を気にしますが)

今回の対象とする不動産の評価額が

基礎控除額より小さかったので、

贈与税はかからないと判断しました。

この登記を自分でやったのですが、

実際はどうだったのか、振り返ってみます。

基本的な流れ

贈与者(今回の場合は義理の母)から

受贈者(その娘である妻)に不動産の贈与が

あったことを示す証拠書類と、その他の

書類を添付し、所有権移転の登記申請を

します。

登記申請の提出先は、贈与された不動産を

管轄する法務局(または支局)になります。

今回は対象とする不動産(土地)の場所が

遠隔地(北海道)だったので、最初は

オンライン登記も考えたのですが、

義理の父の相続登記に際にオンライン登記を

行った経験から、今回は従来通りの、

書類による登記をすることとしました。

オンライン登記といっても戸籍などの書類は

書留で郵送するか、直接持参する必要があり

オンラインのメリットを期待できなくて、

オンライン登記はしませんでした。

オンライン相続登記の関連記事はこちら

必要な書類の準備と作り方

(1) 登記事項証明書

これは従来、土地の権利証(書)と呼ばれていたものです。

現在は電子化されていて、データはオンラインで

請求してプリントすることができます。

登記済権利証の原本があれば、それを探して

使うことがお薦めです。

なぜならば、特に古い登記の場合は、権利証に

記されている所有者の住所表記と、本人の現在の

住民票の住所が異なる場合があり、その場合、

権利証原本がないととても面倒なことになります。

今回の登記では実際に体験しましたが、

最初の登記簿に記された本人住所と、現住所とが

異なるため、登記名義人住所変更登記をしてから

名義変更をしなくてはいけませんでした。

その場合は、古い権利証原本があれば簡単ですが、

ないと、戸籍の附票を市役所から取り寄せるなど、

権利証に記されている住所に本人が住んでいたことを

証明しないといけません。

(2)贈与契約証書

贈与が実際にされたことを証明するため

贈与契約書が必要です。

登記手続きでは”登記原因証明情報”と

呼ばれています。

ネットで探すと贈与契約書の雛形が

たくさん見つかるので、それに従って

自分で作成しました。

参考までに、私が使った贈与契約書は

以下のような内容になっています。

——– 贈与契約書の例 ———

レイアウトは無視してください。

贈与契約証書

贈与者と受贈者とは、後記の不動産(以下、「本物件」という)について次の通り、贈与契約を締結した。

(目的)

  1. 贈与者は自己の所有する本物件を受贈者に贈与し、受贈者はこれを受諾する。

(登記)

  1. 贈与者と受贈者は本物件の所有権移転登記を行うものとする。所有権移転登記に要する一切の費用は、受贈者の負担とする。

以上の契約を証するため、本書2通を作成し、贈与者ならびに受贈者は署名捺印し、それぞれ1通を保有する。

平成30年10月 日

贈与者

住所

氏名                (署名)            (印)

受贈者

住所

氏名                 (署名)            (印)

 [不動産の表示]

所在

地番

地目

地積

不動産番号

——— 以上 ——–

なお、正式には、200円の収入印紙を貼るそうです。

 

(3)贈与者の印鑑証明

贈与者の印鑑証明書(3ヶ月以内の取得)が

必要です。

印鑑証明書の住所、すなわち現住所ですが、

これが登記済権利証の住所と異なる場合、

事前に所有者の住所変更登記が必要です。

住所変更登記の手続きは名義変更の

登記手続きと一緒に行うことができます。

(4)受贈者の住所証明

受贈者の住民票(原本)が必要です。

(5)固定資産評価証明書

これは役所から送られてくる固定資産税の

通知書に評価額が記載されているので、

固定資産税通知書の原本を提出します。

1月1日から3月31日までに登記する場合、

前年度の評価額の通知書を使います。

4月1日から12月31日までに登記する場合、

その年度の評価額通知書を使います。

原本を返却してほしい場合は、コピーも

提出します。

コピーには、「これは原本と相違ありません」と

記載し、申請者の署名捺印をします。

原本は登記終了後に返却されます。

(6)登記申請書および委任状

今回の場合は、受贈者(妻)が、自分で

登記申請を行う準備をしていますが、

本来は贈与者と受贈者がそれぞれ、

権利者および義務者として、

手続きを行う必要があります。

義理の母が法務局には出向かないので、

登記申請には委任状が必要となります。

—登記申請書の例—

贈与でもらう人が申請する場合です。

レイアウトは無視してください。

1ページ目の上部には空白を5cm

程度、空けてください。

法務局で処理のために使うそうです。

なお、申請人の実印を、捨印として、表紙の

右上部に押します。

捨印などは、申請の際に法務局で、窓口の

人が親切に指導してくれます。

心配はありません。

(空白)

登記申請書

 登記の目的               所有権移転

原   因               平成 年  月  日 贈与

権 利 者               (受け取る人の住所氏名)押印

義 務 者               (贈る人の住所氏名)  押印

添付情報              登記済証、登記原因証明情報、代理権限証明情報、印鑑証明書

住所証明情報

平成  年  月  日 申請 ○○法務局

申請人兼義務者代理人            (受け取る人住所氏名)押印

             連絡先電話番号

課税価格              金      円

登録免許税                    円

不動産の表示            不動産番号

所在

地番

地目

地積

—以上—

—委任状の例—

登記に関しての贈与者(義理の母)から

受贈者(妻)に対して手続きを委任する書類です。

委 任 状

私は、(住所、氏名) に次の権限を委任します。

  • 下記の登記に関し、登記申請書を作成すること、及び当該登記の申請に必要な書面とともに登記申請書を管轄登記署に提出すること。
  • 登記が完了した後に通知される登記完了証を受領すること。
  • 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の取り下げまたは補正をすること。
  • 登記に係る登録免許税の還付金を受領すること。
  • 上記1から4までのほか、下記の登記の申請に関し必要な一切の権限。

平成  年  月  日           (住所)

(氏名)     (署名)  (実印)

登記の目的               所有権移転

原   因               平成  年  月  日 贈与

権 利 者               (もらう人の住所)         氏名

義 務 者                (贈る人の住所)                    氏名

不動産の表示

不動産番号

所在

地番

地目

地積

—以上—

登録免許税の計算

贈与の場合は、不動産の評価額の2%を

登録免許税として払います。

法務局で収入印紙を購入して、書類に

貼り付けて申請します。

細かいやり方は窓口で教えてもらえます。

計算の方法は、評価額を1000円未満切り捨てにして

その2%を税額として計算します。

さらにその税額を100円未満切り捨てとして

登録免許税とします。

登記名義人住所変更登記

今回の登記では、贈与者の登記済権利書の住所と、

印鑑証明の現在の住所が異なったため、

住所変更の登記を、同時に行うことになりました。

古い登記の場合はよくあることのようです。

これに関しては、別の登記申請書と委任状が

必要となります。

住所変更の場合、登録免許税は千円必要です。

今回使った申請書と委任状の例を示します。

—住所変更登記申請書の例—

(空白)

登記の目的               1番所有権登記名義人住所変更

原   因               平成 年 月 日 住所移転

変更後の事項            住所 (現在の住所)

申 請 人               (現在の不動産の持ち主住所)

(氏名)

添付情報   登記原因証明情報

代理権限証明情報

平成  年   月  日 申請 (○○法務局)

代 理 人             (受贈者の住所)

氏名         印

連絡先の電話番号

登録免許税               1,000円

不動産の表示            不動産番号

所在

地番

地目

地積

—以上—

—委任状の例(住所変更登記申請)—

委 任 状

私は、(代理申請する人の住所) (代理申請する人の氏名) に次の権限を委任します。

  • 下記の登記に関し、登記申請書を作成すること、及び当該登記の申請に必要な書面とともに登記申請書を管轄登記署に提出すること。
  • 登記が完了した後に通知される登記完了証を受領すること。
  • 登記の申請に不備がある場合に、当該登記の取り下げまたは補正をすること。
  • 登記に係る登録免許税の還付金を受領すること。
  • 上記1から4までのほか、下記の登記の申請に関し必要な一切の権限。

平成  年 月   日            (贈与者の住所)

(氏名)

(署名)                                   (実印)

登記の目的               1番所有権登記名義人住所変更

原   因               平成 年 月 日 住所移転

変更後の事項            住所 (現在の住所)

不動産の表示

不動産番号

所在

地番

地目

地積

—以上—

そのほかの税金

贈与税は税務署に申請する必要があります。

ただし、不動産評価額が110万を超えない

場合には申告は不要ですね。

そのほか不動産取得税の納付通知が

登記した不動産を管轄する都道府県から

送られてきます。

土地の場合は、評価額の3%の金額です。

コンビニで支払えうことになります。

 

まとめ

司法書士に頼まないで無事に登記できました。

(手続きの費用を少し節約できました)

少し難しいところも、法務局に問い合わせたり、

ホームページで調べたりして、最終的には、法務局の

窓口で、書類の綴じ方、捨印の押し方など、

親切に指導してくれます。

今回はトラブルもなく処理ができました。

贈与税に関しては国税なので、評価金額が110万円を

超える場合は、税務署で一度確認する必要があるでしょう。

そのほか不動産取得税は地方税なので県税事務所から

支払いの通知が来ます。これ自動的にくるので、

きたら支払うということになります。

 

元気シニア

 

 

 - 日常生活 体験, 登記, 相続, 贈与, 高齢者